遊行柳
「朽ち木の柳」「清水流れる柳」とも呼ばれ、植え継がれても育たない柳であった。現在の柳は何代目かはわからないが、植え継がれて樹齢4、50年である。
遊行柳は、祖一遍上人に始まる時宗の一九世尊酷上人が「文明元年(一四六九)丑年、白川へ通り玉ふに、此柳の邊りに道二筋あり、老翁出て舊路を導き申す、褒美に和歌を給ひけるに、有難し誠は我は柳の霊なりと、柳の蔭に消失す、此事を詠じたるなるべし、其事の有無は知らねども、此道二筋とあるは、東の方旗宿村古関道と今の大道白坂道の二筋ならん」(那須記)*文明3年(1471)と伝えられている。
老翁の歌に
草も木も洩(も)れぬ御法(みのり)の聲(こえ)きけば朽果(くちは)てぬべき後もたのもし
上人返歌に
思ひきや我法(のり)の会(え)にくる人は柳の蔭(かげ)にかくれぬとなん
尊酷上人の徳を柳の精との問答という形で表したものである。これが謡曲「遊行柳」(作者観世小次郎信光)として広く知られたところである。このことから、代々の上人は必ず、遊行柳を訪れ、一首の和歌を詠むことが慣わしとなっている。
- 所在地
- 〒329-3443 栃木県那須郡那須町芦野
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