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飛倉山

 

岩観音から谷を挾んだ東に小高い山がある。飛倉山である。飛倉権現を祭ったとの記録があるが、南へ延びる山嶺は中世伊王野城へと通じている。

「とびくら」は伊王野城の「遠見の郭」からの転訛であるという。奥州道中分間延絵図には「鳶ノ曲輪龍蔵権現」とある。大字芦野と大字伊王野の境に位置する山である。麓に星の宮神社があったが、今は灯篭の残欠が数点残るだけで往時の面影はない。

古代東山道に関する説がある。東山道を駅路とし、伝路が国衙や郡衙を結んで存在したという。宇都宮市の飛山城址から発見された烽(とぶひ)の文字の書かれた土器に依拠する。伝達方法として烽火を用いたとする説で、この烽火を上げた場所が飛山や富山などの山であるとする。

この説に基づくと、東山道を伊王野谷に沿ったコースとし、黒川駅家が伊王野周辺に比定され、飛倉山はその近くにある。国道294号を北上し、山中と明神の中間にも飛山がある。これらの条件を踏まえれば、駅路としての東山道とは別に芦野谷を走る伝路が存在した可能性は高く、時代は古代まで遡ることもできるのである。

所在地
〒329-3443 栃木県那須郡那須町芦野

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