愛宕山重修碑・兼載碑
現在の芦野基幹集落センターの裏手(西側)に愛宕山がある。
愛宕山は鏡山へと連なる丘陵地の南端部にあるが、間を走る県道によって丘陵部に切り通しができ、切断されている。
芦野に伝えられる里謡に
芦野名所を聞かしゃんせ 遊行やなぎに
片葉葭 駒の石橋 熊の森 桜の盛が
愛宕山 中町見下ろす御殿山
と歌われる桜の名所であった。山頂には愛宕神社が鎮座していたのであろうが、現在は職人に信仰された聖徳太子碑が建っている。南麓には愛宕山重修碑(弘化4年7月建立)が建ち、参道沿いには、連歌師兼載と宗祇による 「かきならす灰は海路の塩に似て」「いろりは海かおきのみえける」の歌碑が建っている。
愛宕山の麓は、揚源寺の旧地であり、慶長年間に現在の御殿山の北へ移転したといわれている。この地から「関東式板碑」と呼ばれる「至徳年号銘板碑」が発見されている。板碑には、卒塔婆の一形式をなし、生者あるいは死者の供養のために造立するもので、近世初期のものはまれで、中世にのみ造られたという特異性がある。上部に種子を彫り、下部に紀念銘、偈、真言などを刻んだものであるが、至徳年号銘板碑は、途中で折れ、種子と年号「至徳」の「至」の部分が確認できるのみである。材質は緑泥片岩であり、関東式である。このほか、地区内には、奥羽式と呼ばれる凝灰岩を使った板碑が見られる。碑身は厚い板碑である。芦野に、関東式と奥羽式の二つの板碑があることから、この地が両文化圏が混在した境界域であると考えられる。
- 所在地
- 〒329-3443 栃木県那須郡那須町芦野
- 電話番号
- 0287-74-0235
- 交通アクセス