聖徳太子立像
板屋から蓑沢に抜ける山間に大ヶ谷と呼ばれる地区に太子堂が祀られている。本尊は聖徳太子立像である。
立像は、桧材彫刻の一本造りで、高さ41㌢である。背面に穴があり、光背があったと思われる。髪は、古墳時代の男子の髪型である美豆良に結い、法衣をまとった姿をしている。背銘には、「大永三○○ 三森安藝」と珍しい釘書きで線刻されている。文政10年(1837)に書かれた太子堂由来額文によると、当地の三森氏の祖先、三森安藝隆満の発願により大永3年(1523)に造顕されたものという。作風は素朴で、地方仏師の手のよるものと思われ、工匠(職人)の祖として祀られた太子信仰の一端が窺える。