足尾大神
西坂地区の中央に「足尾大神」の碑が建つ。
足尾山は、常陸国風土記では「葦穂山」(おはつせ山)とあり、平安時代に醍醐天皇がこの山の神社に祈願し足の病が治ったことから、「日本最初足尾神社」の勅額を下賜したため、「足尾山」に改称したといわれる。
足尾山は、筑波山や加波山と並んで古来より山岳信仰となっており、山中には霊石とされる巨岩や奇岩も多い。かつては山中に800座の霊場があったといわれ、明治・大正・昭和の初め頃までは多くの霊場参拝者があったが、現在は廃れてしまっている。現在山頂には足尾神社本殿が、その少し下に拝殿が鎮座している。醍醐天皇が夢枕でこの神社を知り祈願して足の病が全治したといわれることから、足の病に霊験があるとされ、草履、靴、義足などが多数奉納されている。
碑の北側に一本の道が北へ走る。芦野温泉―中の川―菖蒲沢を経て法師畑へと続く。おくのほそ道紀行の中で、元禄二年(1689)4月20日、湯本を発った芭蕉と曽良が小屋(現池田)、漆塚を過ぎ芦野へと進んだ有力なコースの一つである。漆塚は芦野領である。字名に芦野道上・下が残っており、当然年貢の納入や役人の巡検など芦野とを結ぶ道があった筈である。
西坂から中の川への途中に大野地原がある。江戸末期には野試合や砲撃訓練が行なわれた所である。ここに源頼朝の那須野巻狩に参加するため、芦野家が弓の稽古を行った「犬ケ馬場(いぬがばば)」が伝わっている。今は芦野温泉の一角となっている。
- 所在地
- 〒329-3443 栃木県那須郡那須町芦野
- 交通アクセス