那須の里山芦野・伊王野。
東山道や奥州街道を行き交う人々によって古くから栄えた里山は、
往時から桜の名所として人々に親しまれてきました。
厳しい冬が終わり春を迎えると、里は一面桜色に染まります。
心地よい春の芦野で、満開の桜を全身で受けとめたい!
今回は、特におすすめしたい桜の名所をご紹介します。
芦野を統治した芦野氏の居城であった、芦野御殿山公園。別名「桜ヶ城」とも呼ばれ、約800本のソメイヨシノが山肌をサクラ色に染めます。
山の急坂を登り切ると林立する桜の木に囲まれた平地に到着。眼下には田園風景、遠くに那須岳の望む原っぱにレジャーシートを広げ、のんびりお花見を楽しむことができます。夜間にはライトアップが行われ、往時を忍ばせる御殿山の風格が漂います。
旧奥州街道の宿場町、城下町としての面影を残すスポットとして有名な旧平久江家の武家屋敷。
門の上から覗くしだれ桜は、樹齢400年。長い年月を見守ってきた桜は、今年も春になると花を咲かせ、孤高の姿を垂れ下がった枝ぶりにみてとれます。夜にはライトアップもされるので、御殿山と一緒に夜桜を楽しめますよ。
芦野の観光スポットとして多くの人が訪れる遊行柳。奥州街道を旅した歌人、松尾芭蕉が立ち寄り、句を詠んだことでも有名です。
春は柳の木に寄り添うように桜の木が彩を与え、田園を散策する人の旅情を、味わい深いものにしてくれます。近くには休憩所や遊行茶屋があり、お茶で一息つきながら桜を楽しむのもまた一興です。
芦野は古くから芦野石を採掘してきた歴史があり、切り立った岸壁が随所にみられます。
堂の下の岩観音は、石段の上の岩肌に観音様の姿が出現し、訪れた人の目を試してきます。春になると田植えを控えた手前の水面に桜が映りこみ、絵画のように計算された構図の妙を楽しむことができます。夜には中腹にある観音堂がライトアップされ、幽玄な世界を醸し出しています。
鎌倉時代初期から約150年、伊王野氏の居城だった霞ヶ城。春にはカタクリ、椿、そして約80本の桜が咲き誇ります。
桜の季節になると、山の中腹では伊王野地区の伝統芸能である「千本杵餅つき」が行われ、つきたてのお餅が振る舞われます。こじんまりとした山頂からの眺めは、往時の栄華を忍ばせ、ほっこりとした気分に浸れます。